3度目のカオハガン

何もかもが変わらない世界なんて、ない。そこに、時が流れる限り、そこで、人が生きている限り、世界は止まらない。
赤ちゃんが生まれ、子供は親になり、老人は死んでいく。
日は昇り、沈んでいく。
同じことなんだ。
当然のことが、ここでは当然として在る。
確かめるつもりが、いつも教えられる。再び、というよりも改めて。

   自然は雄大。動物は偉大。そこに包まれる人間はきっと、美しい。



こどもとか、おとなとか。
わからなくなる。

 

 

Bafandi
 ビサヤ語で「たからもの」

日本で開いた初めての個展。それが出来たのは島のみんなに逢えたから。
個展で感じたものは、島のみんなが教えてくれたことと同じだったから。
たからものは、独り占め出来ない。

教えてくれたみんなに、一方的な感謝のしるし。
そして、自分への誕生日プレゼント。

この島で、誕生日を迎えるのが夢だった。
自分の命の喜び、本当に感じたこの島で、自分の生まれた日を迎えたかった。
誕生日、当日。どこから伝わったのか、朝から島のみんながhappy birthday!って。
こどもが走ってきて、「happy birthday,wakana!」
洗濯をしながら、「happy birthday,wakana!」
海の中から、椰子の木の間から「happy birthday,wakana!」

プレゼントなんて、いらない。大好きな人がそこに居る。大好きな人がここにいる。

本当に素敵な誕生日だった。あんなにも、自分の誕生日を感謝出来たのは、初めてかも知れない。
幸せすぎて、もっと、もっと生きてやるって。どんな苦悩もかかって来いって。

 

あれから、何年。
自分の誕生日を祝うのは、悲しいことに下手になってしまったけど、あの日を決して忘れちゃいない。
思い出すのではなく、今も感じることが出来るから。あの時感じたことは、本物だから。

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